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死んでる人に会いに行く

9月もあっという間に10日過ぎて、その間いろいろしたはずなのに、なにをしていたのかろくに覚えていない。

どうせそんなに大切なことはしなかった。
友人に長いメールを書いて送ったことだけが、本当のことだった気がする。

それ以外は、ものを食うのも、掃除や洗濯をするのも、仕事をするのも、ぜんぶなんの意味があるのかわからない。

だからあの長いメールが気がかりだ。
私の言葉が無意味なだけなら私の存在の無意味さを写したというだけで済むけれど、もし無意識に刃物や鈍器や汚いものを仕込んでしまっていたら。
そんなことをしていたら。



生きている人が誰も私に会いたがらないので、死んでいる人に会いに行こうと思った。
死んでいる人はいい。
急に会いに行ったって文句を言わないし、嫌な顔もせず必ずそこにいてくれる。


会いたい人、高村光太郎のお墓は駒込にあるのだという。

亡くなった4月2日は「連翹忌」と呼ばれる。
れんぎょうき、と読む。
連翹は、春になると地際からたくさん伸びた枝いっぱいに黄色い小さな花の咲く木。
河原の土手なんかだとよく桜の下に植えられていたりする。
花の咲く時期も近いので、上は桜色、下は黄色の、のどかな景色が見られる。

亡くなった頃が連翹の花の咲く頃だからだと思っていたけれど、調べると「光太郎がこの花を好んだから」だと書いてある。



白い紙に包まれた菊と季節のお花を抱えて、電車に乗って会いに行きたい。
そのときは、とびきりのおしゃれをして行きたい。

しかし縁もゆかりもない、ただ会いたい人のお墓にお花を持っていってもいいのだろうか。
勝手にお参りしてもいいのだろうか。


近くに谷崎潤一郎や芥川龍之介のお墓もあるそうで、困ったな。

でも、光太郎さんは特別だから。


2018年09月10日(月) 23時27分