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玉ねぎとひき肉を炒めたやつの匂いって

最近は日が長くなって、仕事から帰るときにまだ薄明るい。

初台の駅に向かって、買い物客と飲み客が行き交う不動通りを横切るようにして住宅街の細い道を抜ける。
住所でいうとこのあたりは渋谷か新宿だし、たぶんびっくりするほど土地も高いのだろうけど、古くて倒れそうな家々が隙間なく並んでいる路地の景色は、少しもえらぶっていなくてやさしい。

「いつも悪いわね」
「いいのよ、ちょうど八百屋さんに行ってきたから」
「ごちそうさま」

と、誰かが誰かに野菜をおすそ分けする声が聞こえてくる。


夕飯の準備をしているのか、どこかから玉ねぎとひき肉を炒める匂いがしてきた。
仕事の延長でシャンとしていた背筋が途端にホッとゆるんで、なぜか好きな人のことを思い浮かべた。

これからあの家では美味しいものができあがって、きっとみんなで食べるのだ。
おしゃれでも豪華でもないけれど、どっしりと確かな日常の匂い。

ゆるがないものを、というか、壊れるのではないかと不安にならないものを、根拠もなくそう盲信できるものを、しあわせ、っていう気がする。

好きな人は、いま何をしているだろう。


おぼれかけながら息つぎをするような日々も本当は嫌いじゃない。
ハイになれるから。
でも私は、玉ねぎとひき肉を炒めた匂いが好きだ。


記憶の中の玉ねぎとひき肉を炒めた匂いは、子供の頃、母が料理をしていたときの匂いだ。
全然ふわふわじゃない薄焼きみたいな卵でくるんだオムレツか、しょうゆ味の焼きめしになる。


あの人も、こんなしあわせが好きだろうか。

2017年06月07日(水) 23時45分

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